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2023/05/09 10:13
著者の登喜子さんは山原の地で生まれ育った方です。早くに父を亡くし、母の再婚を機に2歳から大宜味村根路銘の海辺の集落で、母方の祖母とつましく暮らしていました。著者の5歳頃の戦争体験や、戦後貧しいながらも祖母と二人でたくましく生きていく様子が、本書前編では生き生きと語られています。その著者を、中学一年(13歳)のとき悲劇が襲います。
夏休みに那覇の叔父夫婦の家に家事手伝いで泊まり込み、重い水汲みの途中、坂道で足を滑らせて転んだ著者は、右膝を負傷し発熱。翌朝すぐに大宜見の祖母方に帰されますが、それから何と7年もの間寝たきりの病床生活を余儀なくされるのです。それは骨髄炎という病気でした。しかし、当時集落は無医村で病名さえ分からず、貧しさゆえに医者にもかかれず、痛みと高熱にうなされ、寝返りも打てず、親戚にまで伝染病か悪い疫病ではないかと恐れられ、学校も行けずに戸板の上で孤独と不安の中、ひたすら耐えるしかない過酷な日々・・・。
15歳の時、著者は祖母が何とか工面したお金と移動用の車で名護の病院を受診しますが、すでに腿の筋肉は壊死し、大腿骨はハンマーでガラスを砕いたような状態で、外科手術で右足を切断するしかないと診断されます。手術できるほどのお金はなく、何の治療も受けられず、寝たきりで過ごす著者の苦しみを見かね、祖母は一緒に死ぬことを決意します。著者と祖母二人は人生の荒波に飲み込まれて、滅び失せる寸前でした。
翌朝、そんな二人の前に、集落でただ一人のクリスチャンである全盲の女性平良カメさんが訪ねてきます。平良カメさんと伊佐川教会の神山牧師との出会い、著者が神様を信じて洗礼を受けるまでのことも感動的ですが、神山牧師夫妻の養女となり、その後、スカースキー先生の癒しの集会で、著者が主のみ声を聴き、歩く奇跡を体験するなどの場面は涙なしには読めません。
そこから開かれていく著者の献身への道筋は、戦後沖縄の伝道の歴史と重なります。本書には後に著者と結婚する池田博牧師の手記も掲載されており、二人の出会いと結婚、夫婦で廃品回収しながらの横浜での開拓伝道のエピソード、教会堂の献堂、息子二人の信仰継承の証など、内容は現本郷台キリスト教会と著者の家族の歴史そのものでもあります。まさに「キリストの愛が織りなす奇蹟の人生」という副題にふさわしい、著者の主とともにある生涯を伺い知ることができる素晴らしい一冊です。
アロン318コミュニティチャーチ 松永 あおい